アナと室内楽の名手たち~チュマチェンコ女史とともに

2015年4月27日(月) 開演:19時

  • 主催公演
  • クラシック
  • 紀尾井ホール

主催:日本製鉄文化財団

アナ・チュマチェンコと、その芸術に魅せられ、慕い集いし室内楽の名手たち

 アナ・チュマチェンコは、国際舞台で活躍する演奏家たちを数多く世に輩出した名教師であり、優れた演奏家として世界のクラシック音楽界で広く知られた存在です。紀尾井ホールでは、紀尾井シンフォニエッタ東京と2度(2007年、09年)にわたって共演し、その名演は多くの方の記憶に刻まれていることでしょう。
そのチュマチェンコ女史の芸術に魅了され、室内楽の殿堂・紀尾井ホールに名手たちが集まります。
 モーツァルトのピアノ四重奏曲第2番は、モーツァルト特有の憂いを帯びた明るさが美しい曲目。モーツァルト弾きとして評価の高い菊池洋子をピアノに迎えます。ベートーヴェンの七重奏曲は重厚な響きを持ちながら快活さと抒情性を併せ持ったべ一トーヴェン初期の傑作です。受け継がれる芸術―世代を超えた"アナ"と名手たちの親密で上質なアンサンブルをご堪能ください。

⇒チュマチェンコ女史に師事した玉井菜採さん(Vn/紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー)からのメッセージはこちら

紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー 玉井菜採さん(Vn)からのメッセージ

 私が初めてアナ・チュマチェンコ先生に出会ったのは、1995年ミュンヘン国際コンクールを受けたときでした。大学卒業後、すでにオランダに留学していたころでしたが、それまで日本では彼女の名前を聞いたことがありませんでした。審査員をされていた彼女に審査後お話を伺い、温かいアドバイスを頂きました。「どんな演奏をされる方なのだろう…」と探してみたCD、シューベルトのソナタ集を初めて聴いた時の衝撃は、今なお忘れられません。本当に文字どおり、アナの演奏に心を包まれ、ゆさぶられ、じっとしていられず、ミュンヘンへの留学を決意しました。

 アナの音楽家としての生き方は、商業主義的な演奏家と対極にあり、そのCDも今やほとんど廃盤です。ドイツでもなかなか実演を聴ける機会はありません。しかし、彼女の演奏ほど、一度聴いたら忘れられない演奏は滅多にないと思います。「どうしても日本でもアナの音楽を聴いて頂きたい」と、2007年の紀尾井シンフォニエッタ東京定期演奏会で来日が実現し、以来、日本の音楽ファンを虜にしています。

 ミュンヘン音大で2年間、アナのもとで勉強しました。よく、「どんなレッスンをされるのか」と聞かれますが、「生徒によって全く違ったレッスン」としか言いようがありません。彼女は以前インタビューで『私は、生徒が自分自身をうつす“鏡”になるのです』と語っていましたが、ひとりひとりに必要なことを見極め、自分で自分の根と幹を伸ばし、葉を広げるように導くのです。レッスンの中で繰り返し、彼女が私に語ったことは「自由」という言葉でした。しっかり技術や秩序を培ってきた上で、そこから自由にならないと!と私を導いてくれたアナのヴァイオリンこそ、「自由」に呼吸し、いきいきと躍動し、作品の核心へと鋭く切り込んでいきます。それでいて聴く人に大きく開かれています。腕を広げ、抱きとめてくれるような包容力があります。

 自由。それは無秩序ではありません。独りよがりでもありません。長い歴史に培われた伝統や技術が、演奏者の「音楽する喜び」と人生そのものに結び合わされたときに、はじめて開けてくる境地なのかもしれません。

 アナは家族を大事にする一家の母でもあり、生徒からも母親のように慕われていました。彼女にとって演奏活動の中心でもあった室内楽で、日本を代表する演奏家と、素材の味を生かしながら、大胆かつ絶妙な火加減で作品を料理して、聴衆の皆様とテーブルをかこみます。素晴らしく美味しく、心に残るモーツァルトとベートーヴェンになること、間違いありません!

玉井菜採(ヴァイオリン/紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー、東京藝術大学准教授)


©三好英輔

出演者
アナ・チュマチェンコ(Vn)、菊池洋子(Pf)、鈴木学(Va)、中木健二(Vc)、池松宏(Cb)、齋藤雄介(Cl)、福士マリ子(Fg)、福川伸陽(Hr)
曲目
  • モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番変ホ長調KV493 NAXOS
  • ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調 Op.20 NAXOS
  • 【備考】表示のある曲は試聴できます。詳細はこちら。
チケット料金(税込)
S席6,000円 A席4,000円 学生A席2,000円 【紀尾井ホール開館20周年 友の会会員15%割引対象公演】
 

※乳幼児等未就学のお客様のご同伴・ご入場はご遠慮ください。

※曲目は予告なく変更となる場合があります。予めご了承ください。

チケットお取扱い
紀尾井ホールチケットセンター 03-3237-0061
(10時~18時/日・祝休)
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お問合せ

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出演者プロフィール
  • アナ・チュマチェンコ(Vn)

     ウクライナ人の両親の下、イタリアのパドヴァに生まれ、幼少時に家族と共にアルゼンチンへ移住。レオポルド・アウアーの愛弟子であった父の下、4歳でヴァイオリンを始め、9歳でデビュー。11歳の時にはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏した。後に、リエルコ・スピレルに師事し、1960年にはアルゼンチンにおいて、シーズン最高のソリストに選ばれる。1963年よりヨーロッパに渡り、シャンドール・ヴェーグ、ヨーゼフ・シゲティ、ユーディ・メニューインの下に研鎭を積む。この間、ロンドンのカール・フレッシュ・コンクールで1位、ベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクールでシルバーメダルを獲得する。ソリストとして、リサイタル出演やオーケストラと共演する他、室内楽にも力を入れている。夫でもあるヴィオラ奏者のオスカー・リシィと、チェロ奏者のヴァルター・ノータスと共にミュンヘン弦楽トリオを結成し、既に20年間以上活躍を続けている。1990年よりミュンヘン音楽・演劇大学教授に就任。ユリア・フィッシャー、アラベラ・シュタインバッハー、玉井菜採などを世に送り出す。また定期的に、ベルギー・エリザベート王妃国際音楽コンクール、シベリウス国際ヴァイオリン・コンクールなど主要なコンクールの審査員として招聴されている。

    アナ・チュマチェンコ(Vn)

    アナ・チュマチェンコ(Vn)

  • 菊池洋子(Pf)

     2002年第8回モーツァルト国際コンクールにおいて日本人として初めて優勝。その後、ザルツブルク音楽祭のモーツァルト・マチネに出演するほか、国内外で活発に活動を展開し、実力・人気ともに日本を代表するピアニストの一人である。2009年にはモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲をフォルテピアノとモダンピアノを用いて演奏するといった意欲的な企画に取り組み好評を得た。CDはこれまでに7枚をリリース。最新盤は「ロマンティック・アンコール」(エイベックス)。2007年第17回出光音楽賞受賞。

    菊池洋子(Pf)

    菊池洋子(Pf)

    ©Marco Borggreve

  • 鈴木学(Va)

     桐朋学園大学、ハンブルク国立音楽大学(DAAD奨学生)で学ぶ。1993年よりリンツ・ブルックナー管弦楽団の首席ヴィオラ奏者。04年に帰国、現在東京都交響楽団ソロ首席奏者。ルツェルン音楽祭等国内外の数々の音楽祭に招かれている他、ソリストとしても活躍。E.ブロッホのヴィオラ組曲(コンチェルト版)、I.エロードのヴィオラ協奏曲を日本初演等、積極的にヴィオラ作品を日本に紹介している。

    鈴木学(Va)

    鈴木学(Va)

  • 中木健二(Vc)

     東京藝術大学を経て、パリ国立高等音楽院、ベルン芸術大学の両校を首席で卒業。2010年より2014年3月までフランス国立ボルドー・アキテーヌ管弦楽団首席奏者を務める。2005年第5回ルトスワフスキ国際チェロ・コンクール第1位ほか受賞多数。使用楽器はNPO法人イエロー・エンジェルより貸与されている1700年製ヨーゼフ・グァルネリ。東京藝術大学音楽学部准教授。

    中木健二(Vc)

    中木健二(Vc)

    ©Mirco Magliocca

  • 池松宏(Cb)

     1964年ブラジル生まれ。桐朋学園大学卒業。堤俊作氏、ゲーリー・カー氏ほかに師事。1989年NHK交響楽団に入団し、1994年から2006年まで首席奏者。2006年から2013年までニュージーランド交響楽団首席奏者。現在、東京都交響楽団首席奏者。国立音楽  大学客員教授。6枚のソロCDをリリース。

    池松宏(Cb)

    池松宏(Cb)

  • 齋藤雄介(Cl)

     福島県郡山市出身。東京藝術大学器楽科を経て同大学院修了。第18回日本管打楽器コンクール入賞。アフィニス音楽祭、草津国際音楽フェスティバルなどに参加。これまでに秋山かえで、三界秀実、村井祐児、四戸世紀の各氏に師事。現在、神奈川フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者、横浜シンフォニエッタ2014シーズンクラリネット奏者。

    齋藤雄介(Cl)

    齋藤雄介(Cl)

  • 福士マリ子(Fg)

     2009年東京藝術大学をアカンサス音楽賞を受賞し首席卒業。第27回日本管打楽器  コンクール ファゴット部門第1位、併せて特別大賞受賞。第23回出光音楽賞、第24回  新日鉄住金音楽賞受賞。サイトウ・キネン・フェスティバル、NHK-FM等出演。ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団等と共演。東京交響楽団首席ファゴット奏者。

    福士マリ子(Fg)

    福士マリ子(Fg)

  • 福川伸陽(Hr)

     第77回日本音楽コンクールホルン部門第1位他、受賞多数。ソリストとして、日本フィル ハーモニー交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽団、横浜シンフォニエッタ他と共演。20歳で日本フィルハーモニー交響楽団に入団、現在NHK交響楽団ホルン奏者。キング レコードよりソロCD「Rhapsody in Horn」「ラプソディ・イン・ホルン弐」をリリースしている。

    福川伸陽(Hr)

    福川伸陽(Hr)